障害福祉サービス事業所 さくら草

インド研修報告記

2019-05-30

インド研修報告記

当法人として職員の専門性の向上、知識、技術の取得のための研修については積極的に取り組んできました。今回は福祉の専門性追求ではなく、人間性を豊かにする視点で日本とは違う社会、文化を持つ国へ行って研修する機会を設けました。派遣した職員は2名の現場職員。二人とも30代半ばで中堅職員としてこれからの法人を背負ってもらわなければならない人材です。

研修の目的は、

①「福祉は人なり」の言葉が示すように人間としての幅を広げ、日々接している障がいを持った方々へ人間味あふれる支援ができるよう精神面での強化を図る。

②広く他の国を見聞することで自分たちの仕事、日常生活、広くは日本全体のことを振り返り考える機会を作る。

研修先は南インドカルナタカ州

  • Agnes Special School(マンガロール)知的障がい児の特別支援学校
  • Asha Niketan(バンガロール)知的障がい者と健常者が共同生活を営む共同体社会

今回は、両名の研修報告の一部を抜粋して皆さまにご報告させていただきます。

研修に参加した両名は、2月2日に日本を発ち、デリーにて現地で暮らすナンディ藤本聿子さんの下で2日間インド社会のこと、インド滞在中の注意点などのレクチャーを受けた後、デリーから約2,200Km離れた第一の研修先マンガロールまで1週間かけて鉄道やバスで移動。その間乗っていた列車が3時間遅れたり、予約していたはずのホテルで宿泊を断られたりなどのトラブルに見舞われながらも何とか予定通り研修先のマンガロールに到着。上記2か所の研修先でそれぞれ1週間ずつ滞在しながら現地の人たちと交流をもって無事2月27日に帰国しました。

 

【ナンディ藤本さんのレクチャーから】

・北インドでは人とのつながりを大事にしている。祝い事には駆けつける、休暇は実家で過ごす、宗教的祭りがあることで喧嘩していても仲直り・関係修復の機会がある。

・コミュニケーションでは、誤解を与えないよう自分の意思をはっきりと伝える。はっきりと厚かましいは違う。感情論ではなく理屈を積み上げる。

・やり方が違う時は徹底的に話し合う。納得には時間がかかるので時間をかけることで後に引かない。

・ルールは知っているが守らない人が多い。

・インドでは障がいの重い人はまだまだ家に隠されている現状がある  などなど

【ある青年との出会い】

移動中、電車が遅れていて駅で立ち往生していると、一人の青年が寄ってきてバスでも目的地へ行けることを教えてくれる。バスターミナルまで連れて行ってくれて、たくさん停車しているバスの中から自分たちが乗るバスを一生懸命探してくれる。その青年との出会いから、他者に信用してもらえるとはどういうことかを考える。

・困っている時に一緒に考えてくれる。 ・不安を吹き飛ばしてくれる態度。

・必要な結果まで付き合ってくれる。  ・見返りを求めない。 などなど

【St. Agnes Special School での研修】

・初日から生徒は温かく接してくれて、障がいは世界共通。国境もなく言葉の壁も簡単に越えてきてくれると感じた。

・教室には授業をする教師がいて、個別療育のスタッフが別におり、授業中でも療育スタッフが生徒を呼びにきて個別に療育を行う。

・授業を中断して教師と療育スタッフが話し合っている光景が何度も見られた。時には30分にも及んでいた。これがお互い納得するまで話し合うというインド人気質かと理解する。

・案内役のスタッフは自分たちの片言の英語にも積極的に話しかけてくれ、ある教師は両替やバスのチケットの買い方など親切に接してくれたことは非常に有難かった。

【Asha Niketan での研修】

・Asha Niketanの根本の考えは「一緒に」衣食住をみんなで共有し合う。

・日課に朝の瞑想、みんなで歌い、周りに感謝するプレイ(祈り)の時間があるのは信仰心の厚いインドならではの日課。

・インドの障がい者福祉はまだ衣食住の確保という土台の部分であり、「本人の権利」というところまでは考えられていないと感じた。

【まとめ】

英語が話せない自分たちが言葉の障がいを経験することで、意味の理解できないことを選択する難しさを実感し、日々接している利用者の皆さんが大変な思いで生活していることが身に染みて理解できました。これまで事業所でも自分で選ぶ体験を積み重ねる取り組みをしてきましたが、その先の「自分で選ぶ喜び」、「他者に伝わる喜び」に繋げることが本当に選ぶという体験の意味なのだと感じました。

(中山 雅貴)

初めての海外、ましてインドという国へ行くという不安は大きかったが、覚悟を決めとにかくインドと日本はどう違うのか、人の考えや街並みなど現地の人々の生活はどうなのかを見聞することを自分の課題として現地に向かいました。

【街の中で】

デリー在住のナンディ藤本さんよりインドの経済情勢やインド人の考え方、日本とインドの習慣の違い、安全な旅の方法などのレクチャーを受ける。昼食をとるためにデリーの街に出ると、若い母親と小さな女の子が近寄ってきて「お金」と言って私の目の前に手を出してくる。別の場所では女性が「私ミルクが買いたい。何か食べたいからお金をちょうだい。」と言い寄られた。その反面、ムンバイのショッピングセンターは近代的で商品の値段も日本と大差なく、客の身なりもきれいで子どもたちもお菓子片手にゲームセンターで遊んでいる。しかし、一歩外へ出ると汚れた服に裸足で歩く人たちの姿がたくさんあった。このギャップにカルチャーショックを覚えた。

【St. Agnes Special School での研修】

初日は5歳から10歳までの子供たちの教室に入る。英語が話せない自分にどこまでやれるか不安が大きかったが、先生方がジェスチャー交じりでコミュニケーションを図ってくれる。中学部の教室ではどの生徒もすぐに私のそばに来て挨拶をしてくれてとてもフレンドリーに接してくれる。卒業生がボランティアで生徒の面倒を見たりもしていた。どの生徒ものびのびとしていて表情も明るく、年上の子が年下の子の面倒を見る姿が自然にできていたように思う。しかし、子どもへ指示が通らない時に教師が指揮棒のような物で叩く場面が見られ、非常に残念な思いがした。

【Asha Niketan での研修】

障がい者と健常者が共同生活を送っていて、朝はトイレ掃除の後お祈りの時間があり、朝食後に30分の瞑想、その後作業に取り掛かる。ここでの日中活動はキャンドル作り、竹細工作り、ガーデニングなどに取り組んでいる。しかし、作業をしている時間よりお祈りの時間や自由時間が多く、ゆっくりと一日が流れている印象を受けた。自分たちもその中に入って1週間を過ごした。

【振り返って】

寝台列車や夜行バスを使った長時間の移動。そこで電車が遅れたり、列車の切符の手配を頼んでいた旅行社に行くと誰もいなかったり、予約しておいたホテルに宿泊を断られたり、タクシーで法外な値段を吹っ掛けられたりとトラブルもいくつかあった。また外国人とみるや高額の値段を吹っ掛けてきたり、しつこく声を掛けてくる人もいた。しかし、インド滞在中に思ったことは特に若い人たちは私たちに親切で、日本にいい印象を持っている様子が感じられた。貧富の差と同様に人にも日本では想像できない差があることを感じた。インドはゆとりが感じられ、穏やかな人たちが多くいる国で、滞在中実に多くの人たちに助けていただいた。そんな人たちの助けがあって無事に研修を終えることができたと感謝している。

(青木 豊)

 

 

二人の報告書にあるように、インド滞在中多くのことを見聞する中でいろんなことを感

じ、考えることができたと思っています。知らない異国で人の親切も身に染みて感じたと思います。言葉が通じない中で、普段さくら草やかすみ草の利用者さんが感じている『言葉の意味が理解できない。』『言葉で表現できない苦しさ』も体験してきたことでしょう。今回の経験が今後の仕事や自分の人生の糧になってくれればと期待します。

今回のインド研修を快く受け入れてくれた、St. Agnes Special School並びにAsha Niketanのスタッフの皆さま。そしてインドのことをわかりやすく解説してくださり、若い二人に叱咤激励してくださったナンディ藤本聿子氏に心より感謝申し上げます。

理事長 三宅 浩

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